目次
はじめに
クラウドサービスの普及やテレワークの拡大により、従来のネットワークセキュリティ対策だけでは十分な保護ができなくなっています。
VPN(仮想プライベートネットワーク) は、企業ネットワーク内外の通信を暗号化し、安全に利用するための技術として長年活用されてきました。しかし、近年では クラウドサービスやリモートワーク環境の急速な普及 により、VPNだけでは守りきれないセキュリティ課題が増えています。
このような背景から、「ゼロトラストセキュリティ」 の考え方が注目されています。ゼロトラストは 「すべてのアクセスを信頼せず、常に検証する」 という前提に基づいたセキュリティモデルであり、従来のVPNとは根本的に異なります。
以下の図は、従来の 「境界型セキュリティ」 と 「ゼロトラストセキュリティ」 の違いを示しています。
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この図のように、従来のVPNを含む 「境界型セキュリティ」 では、内部ネットワークを信頼し、外部の脅威から守る考え方が基本でした。しかし、ゼロトラストでは 「内部・外部を問わず、すべてのアクセスを検証する」 ことで、より強固なセキュリティを実現します。
本記事では、VPNの課題を解決する新しい技術である SDP(Software Defined Perimeter) と SASE(Secure Access Service Edge) について詳しく解説し、最適なゼロトラストセキュリティを実現する方法を紹介します。最後に、これらの技術を活かした Splashtop Secure Workspace の導入メリットについてもご説明します。
VPNの基本とその限界
VPN(仮想プライベートネットワーク) は、遠隔地のユーザーが企業ネットワークに安全に接続できるようにする技術です。暗号化されたトンネルを作り、通信データを保護することで、インターネット経由でのアクセスを安全に確保できます。
VPNの特徴
通信の暗号化 により、リモートワークや外出先からの安全なアクセスが可能
既存のネットワークを活用 できるため、導入コストを抑えやすい
VPNの限界と課題
VPNは長年、企業のリモートアクセスの主要な手段として利用されてきましたが、現在ではいくつかの問題点が浮き彫りになっています。
1. 設定・運用が煩雑
VPNの導入には、専用のハードウェア機器(VPNゲートウェイなど)の設定 が必要であり、大規模な環境では接続管理が複雑になります。また、リモートユーザーごとのアクセス制御や、トラフィックの最適化などを考慮すると、運用負荷は決して軽くありません。
2. 増加するセキュリティリスク
VPNは 「一度接続するとネットワーク全体にアクセスできる」 という特性を持つため、万が一認証情報が漏洩すると、企業ネットワーク全体が危険にさらされる 可能性があります。また、サイバー攻撃ではVPNアカウントの乗っ取り を狙うケースが増えており、「VPNを突破されるとすべてが危険になる」という課題が指摘されています。
3. パフォーマンスの問題
VPNはすべての通信を一度企業ネットワークへ通すため、大量のトラフィックが発生すると回線が圧迫され、遅延(レイテンシ)が発生する ことがあります。特にクラウドサービスを利用する環境では、VPNを経由することで速度が大幅に低下する ことが問題になります。
4. 運用コストの増大
VPNを安定して運用するには、専用の機器、ライセンス、回線増強 などのコストが必要になります。また、ユーザーが増えるとVPN機器の処理能力を超える可能性があり、定期的な増設が必要 になることも負担の一因です。
SDP(Software Defined Perimeter)の特徴
SDP(Software Defined Perimeter) は、ゼロトラストセキュリティの考え方に基づき、ユーザーやデバイスごとに厳密なアクセス制御を行う技術 です。VPNのようにネットワーク全体に接続を許可するのではなく、必要なリソースのみに接続を許可 するため、セキュリティリスクを大幅に削減できます。
SDPの4つの主要機能
ユーザー認証 → 接続ごとにユーザーとデバイスを検証し、権限のある人だけがアクセス可能
動的なポリシー適用 → 利用環境やアクセス状況に応じて適切なセキュリティポリシーを適用
リソースの不可視化 → 許可されていないユーザーには、ネットワーク内のリソースが見えない
接続の都度認証 → 一度接続したらずっと使えるVPNとは異なり、都度認証が必要なため、セキュリティを強化
以下の図は、SDPの仕組み を示したものです。
![](https://ssw.splashtop.co.jp/fwp/wp-content/uploads/2025/02/Splashtop-Secure-Workspace無し-17.png)
この図のように、デスクトップPC・ノートPC・モバイルデバイスからのアクセスは、まずSDPを経由して認証と制御が行われます。その後、適切な権限を持つユーザーだけが、クラウドサービスやオンプレミスサーバーへ安全にアクセスできる仕組みになっています。
SASE(Secure Access Service Edge)の仕組み
SASE(Secure Access Service Edge) は、ネットワークとセキュリティを統合し、クラウド上で提供する 新しいアーキテクチャです。従来のVPNのように拠点ごとにセキュリティ対策を行うのではなく、クラウドを介して全体の通信を管理することで、安全かつ効率的なアクセスを可能にします。
SASEの主な特徴
ネットワークとセキュリティを統合 → 企業全体の通信を一元管理し、セキュリティを強化
クラウドベースで提供 → 物理機器が不要で、拠点やテレワーク環境でも簡単に利用可能
低遅延なアクセス → 最寄りのクラウド拠点(PoP)を経由するため、VPNよりもスムーズ
あらゆる環境に対応 → 本社・支社・テレワーク・SaaS・データセンターなど、さまざまなリソースと接続
以下の図は、SASEがどのように各拠点とクラウドサービスをつなぐかを示しています。
![](https://ssw.splashtop.co.jp/fwp/wp-content/uploads/2025/02/Splashtop-Secure-Workspace無し-15.png)
Splashtop Secure Workspaceで実現するゼロトラスト環境
テレワークの普及やクラウドサービスの利用増加に伴い、従来のVPNによるリモートアクセスでは、セキュリティリスクが増大し、管理負担が増す という課題が浮き彫りになっています。
こうした課題を解決するために登場したのが、ゼロトラストセキュリティの考え方を取り入れた「Splashtop Secure Workspace(SSW)」 です。
SSWは、VPNを使用せず、安全なリモートアクセスとセキュリティ対策を統合したクラウドベースのソリューション です。
「すべてを信頼しない」ゼロトラストの原則 に基づき、アクセスするすべてのデバイス・ユーザーを認証し、必要なリソースのみに接続を許可 します。
![](https://ssw.splashtop.co.jp/fwp/wp-content/uploads/2024/05/【確認用】240829_SplashtopSecureWorkspace_illust_記事用_pages-to-jpg-0001-scaled.jpg)
SSWが提供する主要なセキュリティ機能
SSWは、SDPやSASEの考え方を活用し、以下のような機能を提供します。
1. ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)
➡ ユーザーとデバイスを検証し、アクセスを厳格に制御
VPNのようにネットワーク全体を開放せず、必要なアプリケーションやデータへのみ接続を許可 することで、攻撃リスクを最小限に抑えます。
2. セキュアウェブゲートウェイ(SWG)
➡ インターネットへの安全なアクセスを提供し、不正なサイトやマルウェアをブロック
フィッシングサイトやマルウェア感染のリスクを減らし、Web経由の脅威から企業を保護 します。
3. 特権アクセス管理(PAM)
➡ 管理者や外部委託業者など、特権ユーザーのアクセスを制限・監視
誤操作や内部不正のリスクを抑え、企業の機密情報を確実に守ります。
4. 情報漏洩対策
➡ 機密データの流出を防ぎ、安全な業務環境を確保
デバイスやクラウドへの不正なデータコピーを防ぎ、コンプライアンスを強化します。
5. ジャストインタイムアクセス
➡ 必要なときだけ一時的にアクセスを許可し、不要な常時接続を防ぐ
従業員や外部委託業者が、必要な業務を行う際にのみアクセス可能とすることで、セキュリティを向上。
6. ブラウザ分離
➡ WebアプリケーションやSaaSへのアクセスを分離し、セキュリティリスクを低減
エンドユーザーのデバイス上で直接データを処理せず、安全な環境で業務を遂行可能。
7. SaaSセキュリティ
➡ クラウドアプリケーションへのアクセスを監視・制御し、不正な利用を防ぐ
シャドーITのリスクを低減し、企業のクラウド環境をより安全に運用。
8. アイデンティティブローカー
➡ シングルサインオン(SSO)を活用し、すべての業務アプリケーションへのアクセスを一元管理
パスワード管理の手間を削減し、セキュリティを強化。
Splashtop Secure Workspaceが選ばれる理由
このように、SSWは VPNを使わずに、SDPやSASEの考え方を活用し、強固なゼロトラスト環境を実現 します。
では、なぜ今、多くの企業がSSWを導入しているのか? その理由は、以下の3つに集約されます。
1. 高度なセキュリティ
🔹 すべてのアクセスを検証し、攻撃リスクを大幅に低減
🔹 VPNのようにネットワーク全体を開放しないため、情報漏洩リスクが最小限
2. 導入・運用の手軽さ
🔹 クラウドベースで提供されるため、物理機器の設置や設定が不要
🔹 管理画面から直感的に設定でき、IT管理者の負担を大幅に削減
3. 快適なパフォーマンス
🔹 VPNのような回線混雑や遅延が発生せず、スムーズな接続
🔹 クラウド上で最適な接続ポイント(PoP)を経由し、低遅延で快適に利用可能
まとめ:今こそSplashtop Secure Workspaceを導入すべき理由
現代の働き方において、リモートアクセスのセキュリティ対策は 「企業の安全性」だけでなく、「業務効率」や「生産性向上」にも直結する重要なポイント です。
VPNの課題を克服し、より安全かつ快適なリモートアクセス環境を実現するために、今こそSplashtop Secure Workspaceの導入を検討すべき時です。
・VPNの限界を感じている方
・ゼロトラスト環境を簡単に導入したい企業
・サードパーティのアクセス管理や情報漏洩対策を強化したい企業
このような課題をお持ちの方は、ぜひSplashtop Secure Workspaceの導入をご検討ください!