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カシオ計算機の被害

ランサムウェアの脅威とは

ランサムウェアとは、コンピュータシステムを標的とし、データを暗号化してアクセスを不可能にし、その解除のために身代金(英語で「ランサム」)を要求する悪意のあるソフトウェアの一種です。ランサムウェアの攻撃者は、感染したシステムに対してデータの解読キーを提供する代わりに金銭を要求し、支払いが行われなければデータを削除したり公開したりするという脅しを行います。近年、ランサムウェア攻撃は急増しており、その手口も非常に巧妙化しています。

ランサムウェアの攻撃手法は大きく分けて2種類あります。一つは、個人や企業の従業員を騙して悪意のあるリンクをクリックさせたり、添付ファイルを開かせたりする「フィッシング攻撃」です。もう一つは、脆弱性が存在するシステムを自動的にスキャンし、その脆弱性を利用してランサムウェアを送り込む「エクスプロイト攻撃」です。これらの攻撃は、企業のネットワークやシステムに大きな影響を与え、多くの場合、業務停止やデータ漏洩などの甚大な被害をもたらします。

ランサムウェアが企業に与える影響は計り知れません。まず、システムの停止による業務の中断です。特に、製品の出荷やサービスの提供が止まると、企業の収益に直接的な打撃を与えます。また、重要な顧客情報や機密情報が流出するリスクも伴い、その結果として企業の信用が損なわれることになります。顧客の信頼を失うことは、ブランド価値の低下を招き、長期的なビジネスの成長にも悪影響を与える可能性があります。

ランサムウェアの脅威は、一般的なセキュリティ対策だけでは防ぎきれないほど高度化しており、特に標的型攻撃では特定の企業や組織を集中的に狙うため、より強力な防御手段が求められます。従来のアンチウイルスソフトウェアやファイアウォールでは防御しきれないケースが多く、企業は包括的なセキュリティ対策を講じることが必要不可欠です。

ランサムウェア攻撃がこれほど強力である理由の一つは、その「感染拡大速度」と「被害規模」にあります。多くのランサムウェアはネットワークを介して急速に拡散し、企業内の多くのシステムやデバイスを瞬時に暗号化してしまいます。さらに、攻撃者は暗号化されたデータを解放する代わりに多額の金銭を要求するだけでなく、支払いが行われなければデータを公開するなどの二重の脅威を与えます。このような背景から、ランサムウェアは企業にとって常に深刻なリスクとなっているのです。

最近の被害事例:カシオ計算機のケース

2024年10月、カシオ計算機はランサムウェア攻撃を受け、業務に大きな影響を及ぼしました。この攻撃は、複数の社内サーバにシステム障害を引き起こし、外部からの不正アクセスが確認されました。その後、10月11日にランサムウェアの被害であることを公表しました。この一連の攻撃により、新製品の発売が延期され、「CASIOオンラインストア」では商品の発送が遅延するなど、顧客へのサービス提供にも影響が出ました。

カシオ計算機は、ランサムウェアによって要求された身代金の支払いを拒否しました。この決定は、警察や弁護士と相談の上で行われたものであり、「不当な要求には応じない」という方針に基づいています。支払いを行った場合でも、情報が確実に守られる保証はなく、攻撃者が再度データを開示するリスクもあるため、企業として正しい判断とされています。

この攻撃による影響は深刻であり、サプライチェーンに関する社内システムを一時停止する必要がありました。その結果、第3四半期のクリスマス商戦に向けた製品供給が不足し、販売機会の損失が発生しました。具体的には、売上高で約130億円、営業利益で約40億円の損失が生じたと推定されています。しかし、システムの復旧が進んだため、この影響は第3四半期に限定される見通しです。

さらに、個人情報の流出も確認されましたが、幸いなことにクレジットカード情報は含まれていませんでした。流出した情報の中に機密性の高いものが含まれていたかどうかは現在も調査中であり、これまでにその情報が悪用された形跡はないとされています。

この事例から分かるように、ランサムウェア攻撃は企業に多大な損害を与えるだけでなく、顧客との信頼関係にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。攻撃を受けた際の迅速な対応と、適切な情報公開が企業の信頼を保つために重要であることが示されました。

  • 被害発生からの経緯

    ・2024年10月5日
     1台のサーバーの停止、複数のサーバーの停止を検知
    ・同日中に外部のセキュリティ企業へサポート依頼し、被害拡大を防ぐため、不正アクセスを受けたサーバーをインターネットや社内ネットワークから遮断

    ・10月6日
     社長直下で緊急対策本部を立ち上げ、全社的な体制構築
    ・サプライチェーンに関連するシステムが一時停止し、事業活動が制限
    ・会計関連システムへのアクセスも遮断する措置を講じたため、決算および株主への期中レビュー手続きが遅延。2025年3月期半期報告書の提出期限は2024年12月13日へ延長承認
  • システムの復旧状況

    ・システムの復旧対応は、お客様への影響を最小化することを最優先し、優先順位を決めて対応。サーバーやPC、ネットワークの安全性を確認し、順次復旧
    ・受発注、在庫、出荷に関する主要なシステムは10月中に復旧し、販売は正常化
    ・11月には生産の主要システムは復旧し、ほぼ正常化
  • 主要事業の業績への影響

    ・各事業においてネットワークへのアクセスを遮断したことにより、部品の調達、生産、出荷等においてシステムの復旧まで一定期間停止
    ・製品の供給不足が一部で発生し、3Qの最大商戦期(クリスマス商戦)において販売の機会損失が発生
    ・システムの復旧が進み、業績への影響は3Qに限定される見通し
    ・販売の機会損失による3Qにおける一過性の影響は売上高で約130億円、営業利益で約40億円と想定

ランサムウェアがもたらす影響

ランサムウェア攻撃が企業に与える影響は、非常に広範囲に及びます。この章では、企業がランサムウェア攻撃を受けた際に直面する具体的な問題と、事業継続に与える影響について詳しく解説します。

まず、ランサムウェア攻撃を受けた企業が直面する最も大きな問題の一つは、システムの停止による業務の中断です。攻撃が成功すると、企業内の重要なシステムが暗号化され、業務が完全に停止してしまいます。例えば、生産ラインが止まり、製品の出荷が遅れたり、顧客へのサービス提供ができなくなったりすることがあります。この結果、売上の損失だけでなく、顧客からの信用を失うリスクも高まります。特に、クリスマスや年末商戦のような重要な販売時期に攻撃を受けた場合、その損害はさらに深刻なものとなります。

次に、データの暗号化による情報のアクセス不可能性です。多くの企業にとって、顧客情報や取引データ、財務情報などの重要なデータが暗号化されることは、ビジネスの継続に直接影響します。このようなデータにアクセスできなくなると、企業は正常な業務運営が困難になり、ビジネスの停止に追い込まれることがあります。また、攻撃者がデータを解読するためのキーを提供する代わりに身代金を要求するため、企業は大きなジレンマに直面します。身代金を支払ってもデータが確実に返ってくる保証はなく、さらには攻撃者に再度脅迫されるリスクもあるため、適切な対応が求められます。

さらに、情報流出による企業の信用失墜も大きな問題です。ランサムウェア攻撃の多くは、単にデータを暗号化するだけでなく、暗号化する前にデータを盗み出し、それを公開することで二重の脅威を与えます。これにより、顧客情報や企業の機密情報が流出し、企業の信頼性が大きく損なわれる可能性があります。特に、顧客の個人情報が流出した場合、企業に対する訴訟リスクが高まり、さらなる経済的負担となることがあります。

ランサムウェア攻撃がもたらす影響は、経済的損失だけにとどまりません。攻撃を受けた企業は、その復旧に多大な時間とコストを費やさなければならず、通常の業務運営に戻るまでには長い時間がかかることがあります。また、ランサムウェア攻撃の発生後は、企業のセキュリティ対策の強化が求められ、それに伴う追加の投資が必要になります。これにより、攻撃の影響は短期的なものではなく、長期的なコスト増加として企業に重くのしかかります。

このように、ランサムウェア攻撃は企業の経営に多大な悪影響を及ぼし、ビジネスの中断、顧客との信頼関係の喪失、そして莫大な経済的負担を引き起こします。

ランサムウェア対策の重要性

ランサムウェア攻撃から企業を守るためには、事前の対策が非常に重要です。ランサムウェア攻撃は、その巧妙な手口と迅速な拡散速度によって多くの企業に甚大な被害をもたらしており、被害を受けた後ではその影響を完全に回復するのは非常に困難です。したがって、ランサムウェアに対する防御を強化し、攻撃を未然に防ぐことが企業にとっての最優先事項となります。

効果的なランサムウェア対策の一つとして、「多層防御」が挙げられます。これは、一つのセキュリティ対策に頼るのではなく、複数の防御層を設けることで攻撃を食い止める手法です。例えば、ネットワークの境界を守るファイアウォール、システム内に侵入したマルウェアを検知するアンチウイルスソフトウェア、不審な動きを検知する侵入検知システム(IDS)、そしてエンドポイントの保護など、異なるレイヤーで防御を行うことで、ランサムウェアがシステムに侵入するリスクを大幅に低減することができます。

また、従業員のセキュリティ教育も重要な要素です。多くのランサムウェア攻撃は、従業員がフィッシングメールを開いたり、悪意のあるリンクをクリックしたりすることから始まります。そのため、従業員に対して定期的にセキュリティ意識向上のためのトレーニングを実施し、疑わしいメールやリンクに対して慎重な対応を取るよう教育することが求められます。

さらに、バックアップの重要性も見逃せません。ランサムウェアによってデータが暗号化された場合でも、最新のバックアップがあれば業務の継続が可能です。バックアップは定期的に実施し、オフサイトで安全に保管することが推奨されます。これにより、万が一攻撃を受けた場合でも迅速にデータを復元し、業務に与える影響を最小限に抑えることができます。

エンドポイントの保護も、ランサムウェア対策の重要な要素です。エンドポイントセキュリティソフトウェアを導入することで、端末レベルでのマルウェアの検出と防御を行うことができます。また、ソフトウェアの脆弱性を利用する攻撃を防ぐためには、システムやアプリケーションのセキュリティパッチを迅速に適用することが重要です。脆弱性を放置することで、攻撃者にとって容易な標的となってしまうため、常に最新の状態を保つことが必要です。

ゼロトラストアーキテクチャの導入も、効果的なランサムウェア対策の一環です。ゼロトラストとは、「誰も信頼しない」という前提のもと、すべてのアクセスを検証し、必要最小限のアクセス権のみを付与する考え方です。これにより、内部からの攻撃や権限の誤用を防ぎ、ランサムウェアの拡散を抑えることができます。

こうした多層的な防御手段を講じることで、ランサムウェア攻撃から企業を守り、事業の継続性を確保することが可能です。

Splashtop Secure Workspaceによるランサムウェア対策

ランサムウェアの脅威に対抗するために、企業は最新のセキュリティソリューションを導入することが求められています。ここでは、Splashtop Secure Workspace(SSW)がどのようにしてランサムウェア対策に貢献できるのか、その具体的な効果と導入によるメリットについて解説します。

Splashtop Secure Workspaceは、リモートアクセスとセキュリティを融合させた強力なプラットフォームです。特に、ゼロトラストアーキテクチャに基づいた設計により、アクセスのすべてのリクエストを検証し、信頼できるデバイスおよびユーザーのみがシステムにアクセスできる環境を提供します。これにより、内部からの脅威や外部からの不正アクセスを未然に防ぎ、ランサムウェアの侵入リスクを大幅に低減します。

まず、SSWは強固なアクセス管理機能を備えています。ユーザー認証には多要素認証(MFA)が導入されており、単一のパスワードだけではなく、追加の認証手段を用いることで不正アクセスのリスクを最小限に抑えます。また、アクセスの時間や場所を制限することができるため、特定の業務時間外や地理的に離れた場所からの不審なアクセスを防止します。これにより、攻撃者がリモートから企業のネットワークに侵入することを難しくします。

さらに、Splashtop Secure Workspaceは、リモートアクセス中のデータの暗号化を標準で行っています。リモートセッション中のすべての通信は強力な暗号化技術によって保護されており、外部からの盗聴やデータ漏洩を防ぎます。これにより、攻撃者が通信を傍受してデータを暗号化したり盗み出すことを防ぐことができます。また、リモートアクセスの履歴を記録し、すべての操作を監視することで、異常なアクティビティがあった場合には早期に検出し、対応することが可能です。

SSWのもう一つの強みは、クライアントレスでアクセスを提供できる点です。特別なクライアントソフトウェアをインストールせずにブラウザを通じてアクセスできるため、ユーザーの利便性を向上させると同時に、攻撃者が特定のソフトウェアの脆弱性を狙って攻撃するリスクを軽減します。このシンプルさは、管理者側にもメリットをもたらし、セキュリティ環境の整備と維持において大幅な効率化が図れます。

また、Splashtop Secure Workspaceは、第三者(外部の業者やパートナー)へのアクセス管理にも優れています。ゼロトラストの原則に従い、必要最小限のアクセス権のみを付与することで、外部からのアクセスによるランサムウェアの侵入リスクを最小限に抑えます。第三者に対しても、アクセスする時間や使用するデバイスを限定することで、リスクの高い操作を制限し、より安全な業務環境を提供します。

さらに、Splashtop Secure Workspaceは迅速な導入と低コストでの運用が可能です。既存のインフラストラクチャに大きな変更を加えることなく導入できるため、セキュリティ対策を強化したいと考える企業にとって理想的なソリューションです。初期費用を抑えながらも、強力なランサムウェア対策が可能となり、すぐに運用を開始することができます。

総じて、Splashtop Secure Workspaceは、ランサムウェアの脅威から企業を守るために必要な多くのセキュリティ機能を提供しています。強固なアクセス管理、多要素認証、データの暗号化、そしてゼロトラストアーキテクチャに基づく防御によって、企業はランサムウェアの侵入と被害を未然に防ぐことができます。シンプルかつ効果的なセキュリティソリューションとして、Splashtop Secure Workspaceの導入は、企業のセキュリティ戦略において重要な役割を果たすでしょう。

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